浮気男、遂に観念

純な青年だった大国主命は、結婚・同棲・浮気を繰り返し“人口増加”に貢献しました。子供神の数は180人を超し、表面に出てこない子は、かなりの数に上るだろう、と言うのが学者先生方の定説です。と言うことは200人を超しても驚くことはないのでしょう。

一旦、出雲を離れようと、馬まで引き出した大国主命が、出雲に腰を据えたのは、嫉妬に狂うスセリヒメの悲しい心情が分かったから、と古事記は詩に託して知らせます。

スセリヒメは杯に酒を満たし長旅に出ようとした大国主命を引き留めた(aiで生成)

ヌナカハヒメと夜を過ごした大国主命だが、話は”本妻”のスセリビメとのやりとりに飛ぶ。神の世の話なので、時間系列に拘っては、到底話は進まない。大国主命は高志国から出雲へといつの満仁か戻っている。スセリビメの嫉妬心に辟易としている大国主命は、しばらく冷却期間を設けようと倭国へ出掛けることにした。衣装を整え馬にまたがる時になって、見送りに来たスセリビメに詩を送った。

スセリビメの哀しみ

古事記・岩波文庫

須勢理毘売(すせりびめ)の嫉妬

大国主命とスセリビメは別れのl場で、お互いに心に染みる詩を交換し合いました。上の中央付近から右が大国主命。左はスセリビメです。長いので要旨だけを書いておきますが、この詩のやりとりで、スセリビメと“距離を置こう”と考え、倭国へ向かおうとした大国主命の心は妻への愛情に変わります。神話とは言え、なかなかお上手に、お互いは、縒りを戻した、と見るべきでしょう。

【要旨】

 黒い衣装をまとって、水鳥が羽を繕うように、首を振り、羽ばたいて見ても、似合わない。波が引くように脱ぎ捨てよう。
 カワセミのような青い衣装をまとって、胸の羽毛を繕ってみても、、これもしっくり来ない。これも脱ぎ捨て、山のはたけにで作る茜の根を潰し、その汁で染めた衣をすっぽりと纏い、毛繕いをして、羽ばたいて見ると、これはよろしい。
 愛しい命よ。群れ飛ぶ鳥たちのように、皆についていったなら、私がついていってしまったら、泣きません、とあなたが言ったとしても、山裾に生えた1本のススキのように、うなじを垂れて、朝霧のようなため息を漏らすだろう。それは霧のように見えるだろう。
私の愛しい妻よ。語ればこういうことだよ。

出雲大社の大国主命像

スセリビメは大きな酒杯を高く差し上げ、夫(大国主命)に近づいて謡います。

八十矛の神の命、私緒大国主。あなたは男ですから、数々の島の岬。磯の先端などを隈無く巡り歩かれます。その行く先々で若い妻をお持ちになる。

私はもとより女ですから、あなたの他に男はいません。あなたを除いて夫はいません。
壁にふわりとした織物が下げられた部屋で、柔らかな寝具に横たわり、白く柔らかな、さやさやと音の出るモノをかけて、淡雪のように若々しい胸に、白い清らかな腕で、あなたを抱く。

手と手を絡み合わせ、腿を合わせ、共に夜を過ごしましょう。さあ、これは御神酒です。どうぞ召し上がって下さい。

こう言い、こう謡い、酒を飲み交わして心変わりをしないように誓い合った。これ以来、大国主命は今に至まで出雲に留まっている。

ヌナカハヒメとの歌を合わせ、四つの歌を神語(かむがたり)と言う。

古事記の神々は思いの外“純”だねー。今の世が頭でっかち過ぎるのかな。

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